柄本時生×柄本佑のユニット『ET×2』の意味や由来、ただの仲良し兄弟じゃない。果てしない演劇の旅

2025/11/19

俳優

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スクリーンの中で、一度見たら忘れられない独特な存在感を放つ俳優、柄本時生(えもと ときお)さん。

コミカルな役からシリアスな脇役まで変幻自在にこなす彼が、実の兄・柄本佑(えもと たすく)さんと組んでいる演劇ユニット「ET×2(イーティー・バイ・ツー)」をご存知でしょうか?

「若い頃に難解な作品をやっておこう」

そんな兄弟の軽いノリから始まったこのユニットは、やがて父・柄本明さんを巻き込み、彼らの役者人生を揺るがす壮絶な“修行の場”へと変貌しました。

なぜ彼らは、最も難しいと言われる不条理劇『ゴドーを待ちながら』を演じ続けるのか?
そこには、テレビでは見せない柄本時生さんの「役者としての苦悩」と、最強の演劇一家「柄本家」の知られざる絆がありました。

この記事では、ファンなら知っておきたいET×2の結成秘話から、ドキュメンタリーで話題となった父との稽古場の真実まで、その全貌を徹底解説します。


柄本時生と柄本佑の演劇ユニット「ET×2」とは?

まず、「ET×2」という不思議なユニット名について触れておきましょう。

名前の由来と結成のきっかけ

「ET×2」という名前は、兄弟それぞれのイニシャルに由来しています。

  • Emoto Tasuku(柄本佑)
  • Emoto Tokio(柄本時生)

二人の「ET」が掛け合わさって「ET×2」。2014年に結成されたこのユニットは、非常にシンプルかつ個人的な動機からスタートしました。

当時、まだ20代だった二人は「兄弟で何か面白いことをやりたい」「若いうちに難しい芝居を『かまして』おきたい」という、ある種の青春の勢いを持っていたといいます。そこには、仲の良い兄弟だからこそ共有できる「遊び心」と「野心」が混在していました。

ライフワーク『ゴドーを待ちながら』への挑戦

彼らが選んだ演目は、アイルランドの劇作家サミュエル・ベケットによる不条理劇の最高傑作『ゴドーを待ちながら』です。

この作品は「ゴドーという人物を待つ2人の男の会話劇」ですが、肝心のゴドーはいつまで経っても現れません。ストーリーらしいストーリーがなく、解釈が非常に難しいことで有名です。

しかし、時生さんと佑さんはこの作品を「訳がわからないけど、なんだか笑える」と捉えました。

  • ウラジミール(兄・佑): 理屈っぽく、悩み多き男
  • エストラゴン(弟・時生): 直感的で、身体的な感覚(靴が痛いなど)にこだわる男

この配役は、実際の兄弟のキャラクターとも妙にリンクしており、初演時から「柄本兄弟にしか出せない空気感がある」と演劇ファンの間で話題となりました。

父・柄本明の登場で激変した稽古場

ET×2の運命が大きく変わったのは、2017年の再演時です。それまで兄弟主導で行っていた稽古に、父であり怪優・柄本明さんが演出家として本格的に介入したのです。

「演出は俺がやる」父の介入

当初は自分たちだけでやるつもりだった兄弟に対し、父・柄本明さんは「演出は俺がやる」と宣言。ここから、単なる「兄弟の挑戦」は、「柄本家の演劇修行」へと様変わりします。

父が主宰する劇団「東京乾電池」の稽古場で行われたのは、妥協を許さない徹底的な演技指導でした。

ドキュメンタリー映画『柄本家のゴドー』で見せた時生の苦悩

この時の様子は、ドキュメンタリー映画『柄本家のゴドー』として記録されています。そこで映し出されたのは、演出家・柄本明による容赦のない「ダメ出し」の嵐でした。

特に弟・時生さんに対する指導は苛烈を極めました。

「お前はつまらない」
「何も考えていない」

兄・佑さんが感覚を掴んでいく一方で、迷路に入り込んでいく時生さん。カメラの前で見せる苦悶の表情は、私たちが普段バラエティ番組やドラマで見る「愛されキャラの時生ちゃん」とは全くの別人です。

しかし、どれだけ否定されても食らいつき、舞台に立ち続けるその姿からは、「役者・柄本時生」の凄みと、父から子へ芸を継承しようとする「柄本家の業(ごう)」のようなものが感じられます。

柄本時生にとって「ET×2」とはどんな場所か?

これほど厳しい現場でありながら、なぜ時生さんはET×2を続けるのでしょうか。

兄・柄本佑との「阿吽の呼吸」

一つには、やはり兄・佑さんの存在があります。
時生さんはインタビューなどで、兄に対して「役者として敵わない」というリスペクトを持ちつつも、「兄ちゃんと一緒にやると楽しい」という純粋な信頼感を口にしています。

プライベートでも仲が良い二人だからこそ出せる「間(ま)」。セリフがない瞬間の沈黙さえも共有できるのは、ET×2ならではの強みです。

劇団「東京乾電池」のDNA

ET×2は、父が作り上げた劇団「東京乾電池」の精神を、最も色濃く受け継いでいるプロジェクトと言えます。

不条理で、滑稽で、どこか悲しい人間の姿を演じること。
時生さんにとってET×2は、単なるユニット活動ではなく、自身のルーツを確認し、役者としての基礎体力を鍛え直す「道場」のような場所なのかもしれません。

今後の活動は? ET×2の公演を見る方法

多くのファンが気になるのは、「次はいつET×2が見られるのか?」ということでしょう。

不定期公演のスタイル

ET×2の活動は非常に不定期です。過去には数年おきのペースで上演されており、一部では「オリンピックのようなペース」とも言われています。

二人が共に売れっ子俳優であるためスケジュールの調整が難しく、次回の公演がいつになるかは未定ですが、彼らにとってのライフワークであることは間違いありません。

最新情報のチェック方法

次回の公演を見逃さないためには、以下の情報をチェックすることをおすすめします。

  1. 劇団「東京乾電池」公式サイト: 公演情報はここから発信されることが多いです。
  2. ドキュメンタリー映画: 公演が見られない期間は、DVDなどで『柄本家のゴドー』を鑑賞し、彼らの演劇論に触れておくのも良いでしょう。

まとめ:ET×2を知れば、柄本時生の演技がもっと面白くなる

「ET×2」は、柄本時生さんと柄本佑さんによる、ただの仲良し兄弟ユニットではありません。そこは、偉大な父・柄本明さんと対峙し、演劇の深淵を覗き込むための戦場でした。

  • 兄弟の絶妙な掛け合い
  • 父からの強烈なダメ出しと継承
  • 不条理劇への果てしない挑戦

これらを知った上で、改めてドラマや映画に出ている柄本時生さんを見てみてください。
あの独特な「間」や、ふとした瞬間の哀愁ある表情の裏に、ET×2で培った強靭な役者魂が隠されていることに気づくはずです。

もし次回公演のアナウンスがあれば、それは間違いなく「必見」の舞台です。その時を、ゴドーを待つように楽しみに待ちましょう。

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